非破壊型シロアリ探知機
ターマトラックについて
ターマトラックはマイクロウェーブ(電磁波)を応用し、木材内部やコンクリート・タイル奥に活動する白蟻を非破壊で探知できる機器です。オーストラリアで開発され、日本では2002年よりシロアリ業者や大学等の研究機関で使用されています。ホーン(検出部)をシロアリの生息想定箇所に当て、本体(表示部)でシロアリの活動を読み取ります。
一見、操作方法は簡単そうですが、実際の調査にはシロアリに関する知識と経験が必須です。現在では、日本をはじめ、アメリカやオーストラリア、フランス、シンガポール、タイ、韓国などでも使用されています。木部であれば最大10cm程度、モルタルでは3cm程度まで測定できます。
ただし、金属や生木、湿気の多い部分では測定できない場合があります。ターマトラックで使用している電磁波は、携帯電話やテレビ、パソコンなどよりも微弱なものを採用しているので安全です。
ターマトラックによる調査
ターマトラックでは非破壊で調査が可能です。例えば、大壁造やタイル壁、出窓下の空間、土間床構造等では内部の柱などにシロアリが生息しているか確認ができません。もちろん、こういった構造であってもシロアリ業者であれば、周辺の環境や状態、場所、その他の情報からある程度生息の判断がつきます。
しかし、実際には壁等を剥がしてみなければ本当の状況はわかりません。また、どの程度活動範囲が広がっているかも判断が難しいところです。ターマトラックの場合、このように見えない構造であっても、内部のシロアリの活動範囲を予測し把握することができ、従来の調査の精度をより高めることができます。
探知の仕組み
駆除効果の判定
シロアリの駆除処理では、薬剤がしっかりとシロアリの活動範囲に行き届いているかは重要です。
例えば、リフォームなどで白蟻被害部分が二重構造になっていると、こちらは生息場所に注入したつもりが実際は行き届いていないことが稀にあります。
また、木材内部のみで生息する外来種のカンザイシロアリでも、駆除効果判定に有効な手段として用いられています。ターマトラックにより活動範囲が特定できれば駆除作業も効果的・効率的に行え、結果的に使用薬剤量も減らすことにつながるので、環境に配慮した施工が実施できます。
駆除の活用例
1. ターマトラックで調査
玄関上がり框内でシロアリが生息しているものと予想されたため、ターマトラックで調査した所、反応がみられました。
2. シロアリの活動範囲を把握
周辺も調べ、シロアリの活動範囲を把握します。
この付近まではシロアリの被害は及んでいないことがわかります。
3. シロアリの駆除作業
活度範囲がわかったので駆除作業は非常に簡単です。
反応の見られた部分に薬剤を注入します。
反応の変化により、シロアリの慌てている様子も伺えます。
4. 駆除作業50分後の様子
僅かに活動は見られるものの、動きはかなり低下しており、しっかりと薬剤が行き届いたことがわかります。
5. 駆除作業1週間後の様子
全く反応はみられません。
シロアリは駆除されたものと考えられます。
写真提供:(株)東海白蟻研究所